「ラーグウェイ・・・」
 明が呟きながら見上げると、ラーグウェイは『離れていろ。』と呟いた。明が黙ってうなずいて離れると、ラーグウェイは四大元素の精霊を召還した。
 「四大元素の精霊、水の精・ウンディーネ、そして、風の精・シルフよ。我に力を。この者を死者の国から取り戻すだけの力を!」
 ラーグウェイがそう言うと、ノームはその場から居なくなろうとした。しかし、ラーグウェイはそれを止めた。四大元素の精霊は、一気に呼べるのは二匹だけだ。三匹以上呼ぼうとすると、自身はその身を滅ぼす事になる。
 「お前には、やってもらいたい事があるのでな。」
 ラーグウェイがそう言うと、ノームはただ黙ってうなずいた。その瞳からボロボロと涙をこぼして、ラーグウェイと美咲とシルフとウンディーネの周りを砂煙となって覆った。そこに、誰も入れないようにするために。その中で、シルフは美香を中に浮かせ、その身体に渦巻く邪気を全て取り払った。そして、ウンディーネはアイマスクのような両目を覆う眼帯をはずした。見開かれた黄金の瞳からの光が美香を包み込んで、その身体に生命の温もりを取り戻していった。
 美香が目を覚ますと、四大元素の精霊はノームを残して全て消え、辺りは急に暗くなった。