「風の精・ジン、火の精パアリアよ。我が杖の先に振れ、燃え上がる炎となれ!プレイズ・アップ・ファイアー!!」
 杖の先に触れた風が、空気中の酸素を燃え尽きる事の無い炎に変えて、明に飛びかからせた。だが、明は炎に自ら飛び込むと美咲めがけて突っ込んできた。
 女は勝ち目が無い事を悟ると男の手に触れ、自らその剣に突き刺さった。
 『これで良かったんだろう?美香。』
 心の中のもう一人の自分がうなずくと、女はその場に倒れこんだ。男の額から、女にもらったバンダナがふわりと落ちた。

 城に居たブラウンは、何かの割れる音に驚いて振り返った。写真たてを見ると、ガラスの部分にひびが入っていた。記念に皆で撮ったポラロイド写真が入っているものだった。ブラウンは嫌な予感がした。バンクスに託された紫の水晶玉を取り出し、それを覗き込んだ。それを見て彼女は音も無く崩れ落ちた。