「あっ、ありがとう、デント。助かったよ。」
　美咲がそう言って安堵の笑みを浮かべると、デントは拳にオークの里に伝わる青銅のメリケンをはめた。
　「・・・美咲、美香。明、頼む。俺、こいつ、倒す。お前ら、先、行く。りでろ、ここ、来る。俺、一緒、行く。だから、行け。心配、無い。俺、強い。俺、負け、ない！明に、勝つ。それまで、俺、負け、ない。」
　「だがッ―――」
　「美咲、行こう。」
　「でもッ―――！」
　「美咲！デントはオークだ。この地上で最も身体の頑丈な種族だ。そう簡単に死ぬわけ無いだろう。それに、リデロもちゃんと来る。安心しろ。」
　ラーグウェイがそう言うと、美咲はぎゅっと唇をかむと、静かにうなずいた。
　「死ぬなよ？デント。」
　北斗がそう言って三人が階段を上ろうとすると、マンティコアが美咲の前に立ちふさがった。