「どうしたの?北斗。こっちは、準備万端♪だよ?」
 美香はそう言うと、スッと目を閉じ再び開いた。美咲に変わる。この戦いを乗り切るのは、美香のひ弱な精神では無理なのだろう。こういう時に、男勝りな美咲は役に立つ。と、美香は少しそう思っていた。
 「行こう、ノース!国王と、エネル王子も、準備は良いみたいだよ?」
 リデロがそう言うと、王はいつの間にか整列した軍の前へ立った。
 「皆の者!主等の指揮は、我が息子・エネルがおこなう!エネルの指示は絶対だ!良いな?・・・・・エネル。頼んだぞ?」
 王子はうなずくと、大声で嘶いた。軍の者達も、それに同調する様に大声を出した。
 「のーす、行く。明、救う、早い方、良い。でーもんきんぐ、容赦、無い。」
 「確かにそうだろうな。」
 デントがそう言うと、ラーグウェイもうなずいてそう言った。
 北斗は黒い馬のイオ・ナキ・ゼリム・アイルと、白い馬のメアラスを呼んだ。イオ・ナキ・ゼリム・アイルに、デント・リデロ・ラーグウェイ・美咲がのった。メアラスと北斗は、そのまま走った。誰も乗せずに。メアラスは、主人の帰りを待っていた。再び、明がその背に乗ることを待っていたのだ。
 ブラウンは城に残った。美咲に傷薬などを渡して。足手まといになるよりは、城に居た方が良いだろう。ブラウンはそう思ったのである。