空には、昇ったばかりの真っ白い太陽があった。それを見ると、北斗は嘶いた。これでもかと言わんばかりの大声で嘶いた。目から大粒の涙をこぼすかわりに、大声で嘶いた。この世界を巻き込んだ闘いで、いったい何人が死ぬのだろうか。人も、エルフも、ドワーフも、オークも、ホビットも、トロールも、森も、木も、草も、花も、水も、大地も、空も、全てが死に絶えるのだろうか。それとも、『善』に部類される者たちが勝つのだろうか。はたまた、『悪』に部類される者たちが勝つのだろうか。それとも、全滅なのだろうか。または、たった一人の犠牲ですむのだろうか。それとも、親友達だけが戦地で散っていくのだろうか。父の軍か、兄の軍か。この戦いの結末など、誰にも想像は出来ないだろう。神にも、それは無理なのだ。あまりにも、失うものが大きすぎるから。
 北斗は再び空を見上げた。真っ赤だった太陽が、いつの間にか青く光っている。北斗は、再び嘶いた。すると、美香達がやって来た。