「あっ・・・明?!君・・・寝ていたはずじゃ・・・」
 「嗚呼・・・そうさ!今の今まで寝ていたよっ!」
 「明・・・・じゃあ、今の・・・」
 「ああ、全部聞こえたぜ?」
 「悪気があって言ったんじゃないんだよ!明は・・・・」
 「俺がなんだってんだよ!!」
 明がそう叫ぶと、美香はボロボロと大粒の涙をこぼした。北斗はそんな美香の頭を撫でていた。北斗は明をギッと睨みつけた。
 明は舌打ちすると、テントに戻ろうとした。むかつく。誰に?自分に?好きな人が他の人を好きだった事に?数歩歩いて振り返る。美香が、大粒の涙をこぼしてしゃがみこんでいる。北斗は、そんな美香の頭を優しく撫でていた。再び正面を向くと、目の前に黒い影が立っていた。それからは、前に嗅いだ事のある死者の臭いがした。