日付が変わるか変わらない頃。まだ重い目をユックリと開く、西の空がいやに黒い。大量のコウモリが空を覆っていたのである。案の定、バンパイアが攻め込んできた。
 「お前は・・・そうか。ニコラスの愛弟子のバンクスか。師匠の死、さぞかし悲しかっただろうに。」
 その言葉が、バンクスに火をつけた。バンパイア達は知っていたのだ。水晶玉を、ニコラスが死んだ後はバンクスが持つと。バンクスは、バンパイアにその両手を向けた。
 「この大気に流れる空なる気よ、我の両の手に触れ、黒き炎となれ!ブラック・ファイアァ!!」バンクスの手元に黒い炎の塊が出来た。「そして・・・黒き炎から死の神となれ!デス・ファイアァ!!」
 バンクスがそう叫ぶと、そこに死神が舞い降りた。死神はバンパイアの真上を旋回した。すると、バンパイアに火がともり、全てが灰となった。だが、一匹だけ、逃げたバンパイアが居た。そう、師匠を殺したバンパイアだ。
 「覚悟ぉ!」
 バンパイアはそう叫ぶと、北斗に突進した。その血に染まった牙を剥き出しにして。ユニコーンの血を飲んで、さらに生き長らえようと言うのだろうか。死ぬ事の無い身体なのにも関わらず。