バンクスは、燃え尽きた屋敷の跡地に師匠を埋め、十字架をたてた。いまだにその事が信じられずに、墓の前で呆然としていた。何故師匠が死んだのか、何故自分はもっと早く着けなかったのか、そんな事が頭の中を駆け巡った。ふと視線を下ろすと、師匠の墓よりさらに数メートル行った所に、光るものがあった。箱だ。バンクスには、それが何か解かっていた。バンクスは以前から、師匠に『良いか、バンクスよ。この箱を開ける時は、私が死んだ時。よく、覚えておきなさい。』と聞かされていた。その時は、何を言われているのか解からなかった。だが、今は解かる。バンクスは、その箱を開けた。中には、水晶球が入っていた。紫色の光を放つ水晶だった。それを手に取ると、頭の中に膨大な何かが流れ込んできた。それは、記憶だった。師匠が生前に行った場所、行った事、それが、全て水晶玉に記憶されていた。バンクスの目から再び涙が流れ出した。涙が止まった頃、師匠が死ぬ間際のシーンになった。家の中に一人の男性が尋ねてきた。


