食卓について、さあ食べようかという時だった。城下町から悲鳴が聞えてきたのは。
それは、一つ二つではなかった。皆は走って現場に向った。そこには、ケンティスとレッドキャップがいた。ケンティスは、まるで誰かに操られているかのように何かを呟きながら、街の人々に斬りかかって行った。
間一髪。ケンティスの槍の矛先が当たる寸前、デントはそれをうけとめた。
「王子、そういう事、する、良く、ない。」
デントがそう言うと、レッドキャップはデントに斬りかかって来た。赤い帽子を揺らしながら、鬼は全速力で走ってくる。血走った紅い眼が、闇にギラリと怪しく光る。
「風よ!我杖の矛先にふれ、縛めの鎖となって奴をおさえよ!チェーン・オブ・ウィンディー!!」
美香がそう叫ぶと、レッドキャップは風の鎖によってその場から動く事が出来なくなった。しかし、レッドキャップは暴れ出した。暴れるとともに、その鎖はさらに強く彼を縛り付けた。しばらくすると、レッドキャップの身体に激痛が走った。全身が引き裂かれるような痛みだった。彼はその場に倒れこんだ。そして、二度と起き上がることは無く、灰となって消えていった。


