デントは、物見やぐらの様な所で遠くを眺めていた。
 「ここだったのか。」
 「のーす、起きる、遅い。寝すぎ、身体、良く、ない。」
 「ごめん、ごめん。何か、居たのか?」
 「いや、居ない。でも、俺の目、お前達ほど、良く、ない。だから、見逃したかも、しれない。」
 「そうか・・・」
 「のーす。俺、嫌な、予感、する。デント、ここ、居たく、ない。怖い。嫌な、事、起きる。そんな気、する。きっと、哀しい事、起きる。誰か、涙、流す。デント、それ、解る。」
 デントはそう言うと、物見やぐらから降りて行った。北斗も、物見やぐらから降りると、兄のもとへ向った。広い城下を回るうちに、日は既に西に傾いていた。
 「兄さーん!」
 「嗚呼、なんだい?我弟よ。」
 「決心は、固まった?」
 「嗚呼・・・」
 そう言って、兄は遠くを見つめた。何を見つめるでもなく。ただただ、その広い領土を眺めていた。夕日に淡く輝く領土を。