「エアリエル!」
 美香がそう叫ぶと、娘は彼女を振りかえった。驚いたような表情だった。
 「貴女は・・・!?」
 「良かった!無事だった・・・本当に、良かった。」
 美香はそう言うと、泣きながら娘を抱きしめた。娘も美香を抱き返した。
 「トロール・・・若い娘をさらって、どうするつもりだ?」
 ノースがそう言ってトロールの前に出ると、彼は全てを否定するかのようにこう言った。
 「違うんだっ!聞いてくれ、ノース様。俺は・・・俺は、殺しちゃいねーんだ!」
 「だったら、この骨は何よ!私はなんのために連れて来られたのよ!!」
 娘は、激怒して叫んだ。辺りに散らばっている骨を指差して。
 「違うんだっ!それ、俺が食べたんじゃねーんだ!なあ、ノース様。信じてくれ・・・助けてくれよ・・・頼むよ・・・」
 「問答無用!村の娘をさらっておいて何言っ―――」
 美香が叫ぶと、目の前に妖精が降りて来た。今回は、美香にもハッキリと見えた。ジーニーである。ジーニーはそこに居る全ての者に一礼すると、トロールについての全ての事を説明した。