「何で?」 葵は自分のベッドに座った。 いきなりどうしたんだろう。 薬の副作用はまだ効いてるのかな? 「面倒臭いでしょ?」 「全然」 「…」 「綺麗なんです」 葵を一度も面倒だなんて思ったことない。 何度も救われたし、楽しい時間も過ごせた。 「顔が?」 「顔…も凄く綺麗だけど、人として凄い綺麗だと思う」 「…」 「蕾さんのこと話してる葵は凄い優しい顔してた。蕾さんに流す涙も…」 「…れ」 葵は俯きながら何かを呟いた。 私が聞き返すと、葵は私のネクタイを強引に引き寄せた。