黒い影は人の心の弱さに漬け込む。
ソフィに近づく度に影はあたしをも取り込もうとするが、触れる以前に弾かれていた。
――ビリッ
弾かれる度に衣服に切れ目が入る。
「もう一度聞くよ! あんたはその力が欲しいの!?」
ソフィとの距離まで後一歩。
あたしは叫んだ。
「……いら、ないわ。 確かに、わたしは弱い、人の後ろ、にしか隠れられないの。
だけど、必要だと思ってしまった。 欲しいと言ったらわたしは人を傷つけてしまった。
強くなりたい。 けど、人を傷つける力なんて、わたしはいらない!!」
ソフィが叫んだ瞬間、にまとわりつこうとしていた影が乱れ始めた。
これは本心が聞けた証拠だ。
「……そう。 なら」
一歩近づき、右手を振り上げた。
「歯を食い縛りなさい!!」
掌をソフィの白い頬に叩きつける。
――パンッ
乾いた音が響いた。


