「ソフィ様。 すぐに帰りましょう。 ご家族が心配なさってますよ」
「……」
女性は杖を収めずに立たせようとするが、硬直したようにソフィちゃんの身体が動かない。
「……護衛が優しいのは今だけですよ? 無理矢理にでも連れていきますから」
肩から腕を掴んで上にあげようとした瞬間、
――ゴキンッ
何かが折れる音が響いた。
「う″、あ…あ″ぁ……あぁああああああっ!!」
断末魔のような叫びに身体が震える。
ゆっくりと上体だけを起こして何があったのかを目の当たりにした。
あり得ない方向に折られた右腕を押さえてゴロゴロと転がる女性。
ユラリと立ち上がるソフィちゃんの周りを漂う黒い何か。
寒気がした。
「ソフィ…ちゃん?」
恐怖で声が震える。
「……」
ジッと私を見据えるソフィちゃんの瞳が段々黒く染まっていく。


