――パンッ
そしてあたしは気合いを入れるように頬を叩く。
痛かったが自身の冷静さを取り戻す事ができた。
「……レイ?」
オスマンは恐る恐る声を掛けてきた。
「大丈夫大丈夫。 いくら鋭い奴でもあたしの出で立ちまでは知らないからね。 それにここはノースト国、絶対にバレない……うん」
自身を納得させて、あたしはその場から去ろうと後ろを向く。
「……あたし、これから街に行ってくる。 食事の時間帯には必ず帰ってくるから、外出許可…得たいんだけど」
「許可します」
「ありがとう!」
あたしは魔法書を開き「モーメント・ムーブ」と唱えた。
「正直な所がレイ様の良いところなんですけどね……」
オスマンはそう言い大空を仰いだ。


