魔法書使いの蒼き人


「花嫁!」


「はっ!?」


「昔からの憧れなの! どこかで結婚式が行われていたのを見て、純白のドレスに身を包んだ花嫁は幸せそうでいいなぁ、て思ってた」


瞬間、レイに抱きしめられる。


「……レイ?」


「今の、リュウキにしか言ってない。 その意味、わかる?」


「……っ」


耳元で囁かれ、ビクリと身体が跳ね上がった。


「……話はそれだけ。 先に、行ってるね」


俺から離れて、レイはドアを開けて出て行った。


「……マジかよ」


俺の呟きは誰もいない小屋にポツリと響いた。


その後は、食堂には行かず自分の部屋に戻る。


何というか、食欲がなかった。


ベッドに横になり、はじめに思い浮かんだのは"花嫁"という言葉。


レイの花嫁姿、綺麗だろうな。


考えただけなのになぜか胸の辺りがキリキリと痛んだ。


どういう事か聞いてみるか。


だが、翌日からレイはいつも通り接してきて聞く事ができなくなった。