「……」
ロイドはスウッと息を吸い、
「トルネード」
と唱えくるりと回す。
――ゴォオオオッ
風が勢いを増しながらあたしに向けて進行している。
あたしもトルネード唱えなきゃだよね。
バッと右手を上に挙げて、
「初級の段、トルネード!」
唱えると同時に斜めに払う。
――ゴアッ
小さなつむじ風から段々と勢いを増すあたしの技。
そしてロイドの竜巻とぶつかり合い……倍の力の勢いをつけた。
軸を変え竜巻はロイドの方へ。
「!?」
「……ごめん、ロイド」
――パタンッ
あたしは直撃の目前で魔法書を閉じた。
先程までの勢いが嘘のように竜巻が消え失せた。
*****