魔法書使いの蒼き人


「……馬鹿か? お前が行ったって何もならないだろう」


確かにそうだ、そうかもしれない。


「じゃあロイドは悔しく無かったのかよ。 大臣の言葉に何とも思わなかったのか!?」


「……」


「目の前で殴られている所を見ても平気だったのかよ!」


――バキッ


身体が床に叩きつけられた。


頬の痛みですぐに殴られたんだと気づく。


「お前、何か勘違いしてるな。 あんなの見て平然としてられる方がどうかしてるぞ」


襟元を掴まれ、立たされる。


「ロイド君ダメ!」


「落ち着くんだ!」


振り上げた手をニーナがロイドの身体をナルシスが押さえている。


それでももう片方の手で襟元を離さずギリギリと握り締めていく。


「正直、腸が煮えくり返る程だ。 お前にもあの大臣にも…何もできなかった俺自身にもなっ!」


眉を寄せギリリと歯を鳴らした。