「……うるさい」
あたしは両耳を押さえしばらくは止みそうもない歓声を眺める。
ちょうど目を向けた前方の席にリュウキとニーナがいた。
リュウキが何かを言っているが周りの声にかき消される。
それでも口パクで読みとることができた。
(ロイドは大丈夫なのか?)
恐らくこう言っているのだろう。
(死なない程度だから、おそらくね)
とパクパクと言い返していき、舌を小さく出す。
リュウキは顔をしかめ、席に座る。
さて……。
あたしは倒れているロイドに視線を向けた。
いくら何でも長すぎない?
もうそろそろ起きてきても良い頃だと思うけどね。
じぃっと見ていると、ピクリと手が動き、
「……ぅ」
小さな呻き声を上げゆっくりと起き始める。
`……´
観客席からの声がやんだ時には地面に足を着けて立ち上がっていた。


