魔法書使いの蒼き人


倒れたままピクリとも動いていない。


顔から血の気が引いた。


死なない程度だから大丈夫だよね。


――ピシッ


変な音が聞こえたかと思うと、それは観客席に張られているシールドにヒビが入り始めている。


だんだんと広がっていき、ついには、


――パリ…ンッ


硝子のように砕け散り地面に落ちていく。


あたしは自身と倒れているロイドにシールドを張り、破片から身を守る。


「……やっちゃった」


随分と間の抜けた声を漏らした。


さっきの波動のせいだな、これ。


しかも、シールドまで破壊しちゃった!


後で学園長に怒られるかな。


ハァと大げさに溜め息をつくと、


`ワァアアアッ!!´


大きな歓声が闘技場内に響く。


さっきから無音だった理由が張られていたシールドにあったんだと理解した。