魔法書使いの蒼き人


ズシッとした重みが闘技場内を覆い尽くす。


「……っ、リュ、ウキ…は、苦しっ」


隣の席に座っていたニーナは胸を押さえながら必死に呼吸をしている。


「ニーナ、大丈夫か!?」


……大丈夫なワケねぇな。


周りのほとんどが気を失っているぐらいだからな。


この正体は魔力だな。


強力な…レイの魔力。


実際、俺も段々と息苦しくなってきた。


見るとロイドの表情が険しくなっている。


「……っ」


観客席からフィールドに向けて叫ぼうにもシールドが張られているため届かない。


(しかし、フィールドから観客席への声はしっかりと聞こえる。)


「!」


俺も限界に達しようとした瞬間、急に重みが無くなった。


「……っ、ニーナ…大丈夫、か?」


「……うん」


肩で息をしながらもニーナの顔色が良くなってきた。


気を失っていた人も次々と目を覚ましていく。