魔法書使いの蒼き人


〈side.Roido 〉

「……お前なにしたんだ」


ウィンドを使い上空へ飛ばした。


普通なら悲鳴をあげるか、泣くかはたまた両方かを行うはずだ。


なのに前方にいる女、レイは突然の事に動揺せず見事に華麗なる着地を見せた。


「何って、普通に降りただけだよ?」


まんざらでもないように答えた。


そのまま立ち上がり、魔法書の方へ歩いていき、


「!?」


手が触れたと同時に俺は、異様な雰囲気に呑み込まれそうな感覚に陥った。


重い、感覚。


全てはレイから発している、魔力。


「……油断したつもりはなかったんだけどね。 こっから本気でいくわ」


クスリと笑ったかと思うと、魔法書を開いたまま手を離す。


「……!」


落ちることなく魔法書は浮いていた。


その上に手を翳し、


「……気をつけてね」


その時の笑顔は俺にとって恐ろしく感じた。


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