座席の殆どが埋め尽くされ空いている席がほとんどない。


よく見ると手前の二つが空いていたのでそこに座る事にした。


「二年生だけじゃなく先輩後輩もいるね!」


「……どんだけ噂が広まるの速いんだよ。 いや、それだけじゃないか……」


ロイドが初めて勝負を挑んだ相手なんだし。


実は、一年の時からロイドは呼び出しくらっては闘技場で勝利という、繰り返しを受けていた。


その度に真顔で返り討ちにしてたけどな。


さっきは驚いた。


ロイドが相手の前で笑うなんて。


「あ、出てきた」


両フィールドから出てきた二人。


ワァワァと盛り上がっていく観客席。


「わぁー…どんな闘いになるんだろうね」


ニーナは興奮を隠し切れないないようだ。


口調がいつもより速くなっている。


「さぁな」


そんなニーナを見て俺はそう言い流し、二人に視線を向けた。