魔法書使いの蒼き人


「まぁ、あんたなら婚約者のお願いはホイホイと乗るものね。 昔っから」


レミリアがどこかに行きたいと言えば喜んで、連れて行く。


何か欲しいと言えば喜んで手に入れてくる。


たとえ人のだとしても。


「……もういいや。 話は明日直接本人に聞くし」


あたしはニコラスに背を向け歩き出す。


「許して…くれるのですか?」


「一言も"許す"なんて言ってないよ。 "考える"と言ったんだ…そうねぇ、"断髪罪"にしようか」


「断髪罪? 何それ」


マリーヌが聞いてきた。


「たった今作った。 簡単に言えばハゲ頭にするの」


あたしは精霊達を見て、


「どんな手を使ってもいいからコイツに恨み晴らしな? あたしが許すから」


と言って再び背を向ける。


歩く中考えるのはレミリアの事。


……何がしたいのよ、レミリア。


彼女に対する怒りがこみ上げていた。


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