「レイっ殺すなんてダメっ!!」
マリーヌ、勘違いしてる。
「……その気はさらさら無いけど」
「……そうなの?」
「うん。 ただ、腹立たしいからこの男の髪切り落としてやろうかと思う」
「!?」
あたしの言葉に男が固まった。
「……内容によるけど、答えてくれるよね?」
こいつ重度の自分大好き人だ、きっと。
「わかった! 命令されたんだっ、"彼女"に」
「"彼女"ってのは?」
「それは、言えない」
「……」
「や゙っ、ボクよりも身分が高位なんだ」
高位って。
何人かいるけど……!
「……あんた、名前は?」
「それよりも、キミ達が名乗る方が先じゃないか? ボクよりも下級なのに?」
「……コイツ、バカだ」
冷めた目で男を見下ろす。
「この通路、多分公爵家全体は知らないと思うよ。 つーか、当然だし」
あたしは息を吐いた。


