魔法書使いの蒼き人


〈side. Rei 〉

ナルシス、結構傷が深いな。


それよりもニーナ、治癒魔法使えたんだ。


学園の授業は基本しか教えないと聞いた気がするけど……。


「ゲホッゲホッ」


あたしは岩を背にせき込んでいる男に近づく。


金髪に金目…どこかで見たことがある。


……どこだっけ?


「あんた、公爵家でしょ。 何であたしらが乗っていた馬車を襲った…それ以前に、この通路はお前が"知っている"はずがないんだ。 どこで知った?」


「……」


「……初級の段、アイス・アロウ」


――ザクッ


「……!?」


「あたし今機嫌悪いの、大事な友達傷つけやがって…ナルシスみたいな致命傷負わせてやろうか?」


――ザクザクッ


「……ひっ!」


氷矢を三本男の顔ギリギリに突き立てる。


あたしの頭上で残った氷矢が狙いを定めた。


「レイ止めてっ!」


マリーヌがあたしの背中に抱きついた。