魔法書使いの蒼き人


紫色の髪の方を見ると、両手をバタつかせ、


「オ、オレは、コイツの付き添いで…喧嘩売る気はないんで……はい」


「そう。 なら、今すぐコイツ引きずってどっか行って」


シッシッと追い払う動作をすると、紫色の髪は藍髪の腕をつかみ走っていった。


「……邪魔者は消えた」


「……」


あたしとダァチの間を風が吹いた。


ダァチは身構え、剣に手を添える。


魔法書を使う気はないので、左手足を一歩引き意識を集中させる。


風が…音が止んだ。


先ほどの穏やかな時間はどこに行ったのか。


ピリピリとした空気を漂わせる。


同時に飛び出した瞬間、


「ちょっと待ったぁー!!」


可愛らしい声が響きわたった。


あたしはその場に立ち止まり声の方向を向く。


「マリーヌ!!」


「姫っ!!」


ダァチとほぼ同時に名前を叫んだ。