彼のそれは、陸のように服を着る事で隠せる範囲を優に越していた。


見える範囲で首、手首にまで。
服を脱げば、恐らくは全身を覆うだろう刺青。
鮮やかな色彩で描かれた和彫りの刺青だった。


そもそも、隠す気すらないのだろう。
それでもかなりの威圧感を与えているのは否定できない。


彼自身が彫り師であり、陸の体にあの模様を彫り上げた張本人でもあった。


「七海ちゃん、今日は制服じゃないんだね」

「はい。今日、土曜日だし。学校は休みだったので」

「そっか、土曜日か。でも、七海ちゃんの制服姿、結構萌えるのに」


こんな発言にも、対応に困ってしまう。