頭に置かれていた大きな手が、今度は髪を梳くようゆっくりと動く。


私の顔にかかった髪を、陸の長い指がすくい上げるように耳に掛ける。
そのまま頬を伝い、顎のラインに這わせて止まる。


「ななちゃん、これ以上痩せたらダメだからね」


心地良い陸の指の動きが止まってしまって、少しガッカリした。


「これ以上痩せたら、オッパイ無くなっちゃうよ」

「ちょっ、そっち…?!」


陸は徐に私の胸に手をあてると、考え込むように顔をしかめる。


「ん゛…やっぱりちょっと小さくなった。前は俺の手の平に丁度収まるいい感じだったのに」

「変態オヤジ」

「いいよ、変態でもオヤジでも。
どっちも本当の事だし」


ニヤケた顔。
全然オヤジなんがに見えないのだけれど。


陸がなかなか手を離さないので、振り払うフリをした。
本当は、そんなに嫌じゃなかったから。