どうしようもないくらい好きでした(仮)



「そっか」


龍さんは可笑しそうに笑った。
それから、少しだけ身を乗り出すように座り直すと、真面目な顔で私を見つめた。


「七海ちゃん、きっとこの先もこういう事が何度もあると思うんだ。
それは、陸が七海ちゃんの事を大切に思ってないって事じゃなくてね。
ただ今は、それが陸の生き方なんだって思ってくれたら嬉しい」


とても真っ直ぐで力強い視線が私一人に注がれる。
痛いくらいに真っ直ぐな視線。


「それでもね、ずっと続くかって言われたらそうじゃない。
今はまだ、陸も理解できない事なのかもしれないけどね。
そのうちに、自分の生き方なんかよりももっと大切に想えるものが側にあるって事に気がついて、今度はその大切なものを守りたいって想う時がやってくるから」


そこまで言うと、自分の左薬指に光る指輪を、まるで芸能人の婚約会見のように見せてきた。


「この俺だって、そうだったんだから」