「七海ちゃんじゃん。久しぶり」
その風貌からは想像もできない程の、それはそれは人懐っこい笑顔。
龍さんは、カウンター越に右手を軽く上げた。
「一人で来るなんて珍しいね。陸、まだでしょ?」
「はい。あの…今日はいつも使ってるお香が無くなっちゃって。
それで、ちょっと買い出しに」
「へえ-、そっか。
てっきり、陸の居ない間に俺に会いに来てくれたのかと思ったのに」
陸さんはそう言ってニカッと笑ってみせる。
男の人って時々子供に戻るんだ。
「まあ…それもちょっとあるんですけど」
「えっ!? そうなの?」
「えっ!?
いや、そんな変な意味じゃなくて…。 あの…上手く言えないんですけど、何となく陸を知ってる人に会いたいなって…」
驚いたような龍さんの顔。
私、何言ってるんだろ。
最悪だ…。

