どうしようもないくらい好きでした(仮)




制服のまま街をぶらつくのは、随分と久しぶりのような気がする。
さすがに今日は学生の姿が目立っていた。


お香など今時どこでも見かける。
あまりにもマイナーな物でなければの話しだけれど。


適当にフラフラと歩きながら、いくつかの雑貨屋が頭に浮かんではいた。
けれども最初からそのどの店にも行く気はない。


どこに行くのかは、昨日から決めていたから。
私が向かっていたのは、あの龍さんのいる店だった。


陸とは何度か来店してはいたが、どうにも敷居が高く苦手としていた店。


『なのに何故?』と思われるかもしれない。
明確な理由は特にはなくて。
ただ無理やり理由を作るとすれば、陸を知る誰かに会いたかったのかもしれない。


陸の存在を少しでも身近に感じたかったのかもしれなかった。