「美容師かあ。まあ、いいんじゃない?
七海っぽい。
でもそんな曖昧じゃ困ります。
何するにしたって、現実的にお金もかかるんだし。
真剣に決めてもらわないとね」
思い出に浸る私と祖母の空気をよそに、現実的でもっともな意見で母がリアルに引き戻す。
「わかってるよ」
そうは言ってみたものの、まだ実感すら湧いてもいない。
こんな風に大人になっていくのだろうか。
皆、こんな風に…。
どこか虚しさにも似た、得体の知れない感情が湧き上がってきていた。
* * *
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