1人電車に揺られながら、陸の事を思った。 今、こうしている瞬間。 陸は何をしているのだろうか。 どこにいて、何を見て、何を思っているのだろう。 私には想像する事すら出来ない。 私の知らない場所で。 私の見た事のない世界で、陸が何を思うのか。 私はただ、陸に会いたかった。 当たり前のように触れていた陸の温もりが愛しくて、冷たくなった指先を暖めるようにそっと握り締める。 今にも泣き出してしまいそうで。 私はそっと目を閉じた。 * * *