「ななちゃんに持っててもらいたい」
陸は、私に会えない事が淋しいのだと言った。
日本を離れる陸。
日本に残る私。
離れ離れになる事は、2人にとっては同じ事だ。
それでも日常の中にいて、陸が居ない事を除けば何の変化もない私の生活、世界。
陸はどうだろうか。
例え自分の意志であったとしても、自分で望んだ事だったとしても、非日常の世界の中に飛び出していくという事。
ここに私を。
日常の世界に私を残して行く彼の方が、ずっと不安なのかもしれなかった。
本当は、陸の方が不安に押し潰されそうなのかもしれなかった。

