どうしようもないくらい好きでした(仮)




「ご両親は、反対しなかったの?」

「反対された事は一度もなかったかもしれない。もちろん、本心はわからないけど。

高校卒業して、進学も就職もしないで。
旅に出たいなんて言い出す息子を内心どう思っていたんだろうね」


陸はそう言って笑ってみせたけれど、私にはその笑顔が少し複雑な表情に見えた。


「自分の道を見つけたのなら、失敗してもいいから進んでみたらいいって言われた。一度しかない人生の中で、それが正解かどうかなんて関係ない事なんだって。

多少の小言も言うだろうし、心配もする。だけどそれは親として当然の事なんだと思って、頭の片隅にでも入れといてくれればそれでいいって。

俺には、勿体ないくらいの親なんだ」