前の席への片想い。




「えーっ?
いい人だと思うけどなぁ…」





「ダメなもんはダメ!
1番近くで誰よりも長く見てきたあたしが言うんだからダメ!
いい加減な気持ちで恋してると泣かされるだけだよ!」





「…前田くん何したのよ?」





真奈美は2度目の溜息をつくと話し始めた。





「光はね、あのルックスだから小中とモテにモテまくってたのよね。
でも、9割はNO。
残りの1割は光と付き合えたけど、まぁあれを付き合ったと言うのかしら?
最長1ヶ月、最短12時間。
振り方もひどい。
なんかやっぱりあんたじゃダメ。
これを寄ってくる女の子に言うのよ?
はぁ?何様よあんたって感じでしょ?
学年1の美女だって振られたわ。
年上であろうともあいつには関係ない。
そのおかげであたしがどれだけ苦労したか…!」





鬼のような形相でひたすら語りつづける真奈美はもうあたしじゃ止められない。





ここは吐ききってもらうか。





「何があったの?」





真奈美は待ってました!とばかりに、さらに身を乗りだして話し始めた。





「振られた女の子たちによる嫌がらせよ。
あの頃はなんだかんだ幼なじみだし、あたし、バスケ部のマネだったし。」





そう言えば前田くんはバスケ部だ。





真奈美は今は帰宅部だけど。





「何かと関わること多かったのよね。
振られた女の子たちはあたしのこと、気に食わなかったみたい。
まぁ、あたしのこと見て敵わないと思った子も多かったけど、中にはいるのよね。
さすがに水かけられたりとかはなかったけど、ビンタとかひっどい言葉言われたわ。
光くんに近づかないで!ってあたしは近づきたくて、近くにいるわけじゃないのにね。
そしたら、光どうしたと思う?
仮でいいから彼女になってくれだよ?
彼女いたら、告白の数減るからって!
もー、ほんと自分勝手。」