「お前をがっかりさせることなんてまずねぇーから、入部決定な♪」



「自信満々だなおい(笑)」



すごく仲良さげ。



遼くんって笑わないイメージがあったから、ちょっと意外だな。



「あ、千夏。」




「…え、あ、うん!何?」




遼くんがあたしを呼んでいると気づくまでちょっと時間がかかってしまった。



「もしかして、バスケ部の友達ってこいつ?」



「そうそう!まさか知り合いだったとはねー!」



「てかさ、なんで高宮と知り合いなわけ?」



奏斗がむすっとした声で言う。




「あーそれ、あたしも聴きたい!
千夏だけ抜け駆けずるーい!」




真奈美も参戦。




遼くんとあたしは思わず顔を見合わせて、くすっと笑った。




「んー…偶然?」



「じゃあ、遼なんで名前で呼んでんの?」




「じゃあ、奏斗も名前で呼べばよくね?」



口の端を上げるようにふっと遼くんが笑った。




すると、奏斗はあたしのほうを振り返り口をパクパクさせたけど、ふーと言った。



「今更高宮を、千夏とか呼べねーわ(笑)
つーか、千夏って感じ無いし(笑)」



あたしがバシッと背中を叩いたので、奏斗は前につんのめった。



「ごめんなさい冗談です!!(笑)
ごめん千夏!!」




…あー、もうそれは不意打ちだって。



狙ってんのか狙ってないのかわかんないけど…。




聞き慣れてるその声で、聞き慣れないあたしの名前を呼ぶだけでこんなにもドキッとするもんなの!?


一瞬にしてかぁーっとなってしまったあたしは




「許してあげないんだから。」



と言いながら、そっぽを向いて誤魔化した。