最低限の貴重品だけ持って図書室を出る。
「それより、転校生か何かですか?」
「まぁ…。本当はこの時期にはこっちに通うはずだったんですけど、テストがあるからっていうので、クラスに編入するのを遅くしてもらったんです。」
「そうなんですかー!
ちなみにどこのクラスに?」
「1E…だったかな?」
「うそ!あたしも1Eだよ!!
1Eの高宮千夏!
タメでいいよー!よろしくね!」
「じゃあ、遠慮なく。
俺は江崎遼。遼でいーよ。」
「さすがに呼び捨ては…!
遼くんにしとく。」
「あっそ。」
そう言ってスタスタ。
感じ悪い…。
目的地に着いたのであたしはじゃあ、これで。と言って引き返そうとした。
「あ、ありがとな。千夏。」
「ふへっ⁈」
あまりに突然だったので素っ頓狂な声をあげてしまった。
「あ、呼び捨てダメだった?」
「い、い、いや!全然大丈夫だよ!」
あんまり呼ばれ慣れてないからドキドキする。
「そう。じゃあ、また。」
「うん、またね。」
そう言って別れる。
まだドキドキしてる…。
あんだけかっこよかったら編入初日は大変だなーと思った。
きっと真奈美がうるさいだろうな。
そう思ってくすっと笑う。
早くテスト終わらないかなーと思ってあたしは図書室に戻った。