「どういたしまして」
そう言ってまた問題集に目を落とす。
うーむ。
本格的に勉強しないとやばそう。
よーし。
ブーブー
携帯のバイブが鳴る。
メールを開いてみると。
『負けたらおごりな(笑)』
と言う文字と古典の範囲の写メ。
あーいーつー!
あたしが古典苦手なの知ってて…!
「ちょっと奏斗!
こんなのズルいよ!!」
「ズルくねーよ(笑)
てか、範囲送ってやったんだから感謝しろ(笑)」
「だって、古典苦手…!」
「戦前逃亡か??お??」
負けず嫌いのあたしはむっとして。
「いーし!勝つもん!見ててよね!!」
そう言ってテキストを広げる。
うわ。やばい。1問目からわかんない。
「降参するなら早めにしとけー(笑)」
こいつ…!
奏斗のそばだと集中できないと悟ったあたしは放課後に図書室へ向かった。
受験生がたくさんいるここは普段は敷居が高いような気がして、あまり好きじゃないんだけど、今日だけは絶好の場所。
窓際の個人スペースを見つけたあたしはそこに荷物を置いた。
すると後ろから、
「あの…すみません。職員室ってどう行けばいいですか?」
とっさに振り返るとそこにはちょっと無愛想な、でもかっこいい男子。
うちらと同年代かな?
「図書室出て階段下がって一階まで行って右の突き当たりですよー!」
「ありがとうございます。」
「でも、ちょっと複雑な作りだから一緒に行きますよ!」
「すみません…。そうしてもらえるとありがたいです。」
「いーえー!」