「…ふーん。そう?」



つまらなさそうに奏斗は口を尖らす。


そしてまたチビチビと飲み始めた。



ずきん。



あれ。



なんでかな。



なんで、こんなに涙が出そうなんだろ。



なんでこんなに涙堪えてるんだろ。



なんでこんなに近いのにもう会えないって思っちゃうんだろ。



なんで。



なんで。



あたしは泣きそうになるのを堪えてるのがバレないように立ち上がった。



「じゃあ、あたし手伝いに行くわ!
奏斗ありがとねー。」



この場から離れたくてそそくさと戻ろうとしたら、



「ちっと待った。」


ぐいっ。



「…〜っ///!!!」



な、何が起こってるの?!



奏、奏斗の顔が目の前って!!



「おまえ、熱でもある?」



そう言っておでこをくっつけてくる。



「ひゃあ…!
だ、だ、大丈夫だから!!
奏斗離して…!!」



思わず顔を背けようとしたけど、奏斗が腕を掴んでるから、離れられない。



「ダーメ。
なんか熱ありそうだし。
そのまんま奏斗様がお姫様だっこでもして保健室連れて言ってあげましょーか?(笑)」



「は?!何言ってんの?!
そんなことしなくていいから!!
大丈夫だし!!」



てか、この状況でなんでこいつはこんなに余裕そうなの?!


熱あるってそれ絶対あんたのせいなんだけど!!


やばい、あたし、絶対顔赤い…。



どうか気づかないで…。



ぎゅーっと目をつむる。




「パシリとして頑張りすぎるなよ?適度に水分補給ね?わかった?」



そう言って、あたしの顔をみてくる。



「わかった。わかったから。」


早く離して…!!



奏斗が一瞬ニヤリとしたと思ったら、あたしの頭に手を置いてポンポンってした。



「つらくなったら呼べよ?
高宮頑張りすぎちゃうから。」



「〜っ!うっさい!
わかったってば!!
もう戻るって!!」



あたしはばっと奏斗の腕から逃れて振り返りもせずに走って帰った。



なんなのよ、これ…!!