前の席の黒い背中。
あたしはこの背中ばっかり
見ている。
*
「…や、高宮!起きろって!!」
「ん〜…ふぇ?」
「授業終わったって!」
「え!ウソ⁈また、寝ちゃったよ!」
「バカだなぁ…ほんと。ほらノート!」
「…ありがとー!!神様仏様奏斗様!」
そう言ってあたしは奏斗からノートを受け取る。
あたし、高宮千夏は宗田奏斗は席が前後の仲良しさん。
高校入って、出席番号前後で、あたしのだいっすきなマンガを読んでたから、自然と話すようになって仲良くなった。
趣味合うし、何より一緒にいて気が楽。
奏斗はクラスの中心的存在で、周りにいつも人がいて、人を笑わせるのが大好き。
ほんといいやつなの!!
「ったく。
こう毎日毎日後ろで寝られると困るんですけど、聞いてます?
高宮千夏さぁん?」
「聞いてます聞いてます!
どうして困るのー?
別に迷惑かけてないじゃん」
「寝てるのバレて、先生に指されたらどうしようかなーと思ってねー。
一応これでも心配してんの。」
「あらあら。それはどーも。」棒読み