前の席への片想い。




「え、今も付き合ってるの?」





「まさか。
中学のときだけよ。
彼女になっとけば、嫌がらせも減るし。」





もしかしたら、とあたしは思った。





もしかしたら、前田くんって…。





「あ、噂をすれば光。」





真奈美は窓の外を見ながら言う。





ファミレスのすぐそこの信号のところで前田くんが、女の子としゃべっている。





明らか彼女は前田くんが好きみたいで、ボディータッチを繰り返してる。





2人はとても楽しそうだ。





「高校入っても光は光ね。
相変わらずモテるし、本人は愛想いいから勘違いする女の子多いのよね。
でも、あたしは光と関わらなくなったから嫌がらせはなくなったから、別にいいけど。」





真奈美は窓の外にいる前田くんを見ながら言う。





その表情は清々したって言うより、ほんの少しだけど、寂しそうに見えたのはあたしの気のせいなのか。





それからあたしたちは外が暗くなるまで語りあって、最終的には今の担任に彼女がいるかどうかの討論になっていた。