押し開けようとしたドアが勢いよく開き、前につんのめって。
顔面から床にダイブ。
「ゴメンゴメン! 大丈夫?」
頭の上から降るのは、彼女の声。
「……大丈夫なわけ、ないじゃないですか」
床が打ちっぱなしのコンクリートじゃなくてよかった。ご丁寧に敷かれていた、毛足の長いカーペット。普段は理解に苦しむ彼女に、今ばかりはほんの少しだけ感謝した。――って、そもそも俺がこんな目に遭ってるのは彼女の所為じゃないか!
鼻を押さえながら、身体を起こす。鼻血が出なかったのが不幸中の幸いか。
ふつふつと沸き上がるこの怒り、どうしてくれよう。