監察官は、懐から薄いゴム製の手袋を取り出すと、彼女の掌にそれを乗せた。手術とかに使うもののようだ。 鈍く透けるゴム手袋の口に軽く息を吹き込み、はめる。ゴムの膜に包まれた指で、ビニール袋の口を開けた。 彼はそれを咎めない。 彼女の行動に口を挟まないのは、了承の印なのだろう。 段ボール箱の上にビニール袋を敷き、その上に電話を据えた彼女は、視線を落としたまま口を開く。 「被害者は、左利き?」 「……調べさせます」 「その様子だと、受話器には両手の指紋が残ってたんだね」