ミーンミンミン

8月中旬の暑さが体力を奪う。

私、高島 紗由理(たかしま さゆり)はこないだ8歳の誕生日を迎えた。

私は、姉という身分でこの世に居るものの、姉の仕事をしたことがない。

妹、高島 雪(たかしま ゆき)は父の再婚者、つまり継母の連子だ。

私のお母さんは私が5歳のとき、病死した。

一年後、再婚した相手が今の継母である。

昔から私の家は貧乏で、父のYシャツを着ていたときもあった。

貧乏なので当然、ゲームやテレビを買うお金もなく暇人だった。

そんな私の一番の楽しみ、それが私の親友、佐々木 凛音(ささき りんね)ちゃんと遊ぶことだった。

凛音ちゃんは佐々木グループのお嬢様で、大金持ちらしい。

高価な物を着けていることから察することができる。

なぜそんな子と私が知り合えたかと言うと、話が長くなるので言わないが、とにかく私は親友だと思っていた。

私は普通にりんねちゃんと遊ぶために公園へ出掛けた。

いまは夏休みのため、多くの子供が公園へ行く。

そんなことは承知していたが、ここまでとは予想していなかった。

そこには公園の半分を占める子供達がいた。

「うわぁ、この中から凛音ちゃんを探すのか……」

そう呟いた私の目の前に黒い物体が、突然現れた。

「!?」

びっくりした私は腰を抜かしその場にしゃがみこんでしまった。情けない。

「さゆりちゃん」

そう話し掛けてきたのはりんねちゃんだった。

「どうしたの?」

「わたし、アンタの事大っ嫌い」

え、今何て?しかも、突然。えっと、『アンタの事大っ嫌い。』=私の事大嫌い。……!?

「なっ…何で?りんねちゃんいつも遊んでくれたし、誕生日プレゼントだって、私のお金全部使って買ったんだよ!?しかも……友達だよって……」

私の目からは涙が出ていた。この感覚、嫌い。胸の底にあったモヤモヤが上へ上へ上がり涙になる。

一生懸命抑えても出てしまう、この感覚。

涙が頬を濡らし、地面へ。その一粒一粒には私が今までりんねちゃんと作ってきた思い出が詰まっている。

「そんなことで泣くアンタが嫌い。貧乏なくせに私に近づいたアンタが嫌い。…しかも、あの誕生日プレゼントさぁ、ちょー、安いやつだよ。www」

そう言っているりんねちゃんの目は冷たく、そして怖かった




ー私が人間を怖いと思ったのは、その時からである。ー