「もしもし…?」 「もしもし、愛海?」 「うん」 「ごめん。今日遅くなる」 そっか…。 「愛海?聞いてる?」 何の反応もしない私に輝が心配そうな声を出す。 「うん。ちゃんと聞いてるよ?」 「そう。じゃあ、とりあえず遅くなるから。夕飯は家で食べるから…」 「輝君!誰と電話してるの?」 輝の声を遮るように聞こえてきた女の人の声。 それは、私も聞いたことのある声だった。 「ちょっ…愛莉!」 愛莉さん…。