「寝てないの?」 「…」 「てか、何で俺玄関で寝てるわけ?」 「…」 輝の言葉になんて返したら良いのか分からない。 だから、私は無言を貫く。 「はぁー」 聞こえてきたのは、盛大なため息の音。 「まだ怒ってるわけ?いいかげんにしろよ」 誰か違う人でもいるの? と聞きたくなるような低い声。 でも、それは紛れもなく輝から放たれたもので。 途端に来る震えを悟られないようにするのが、今の私は精一杯だった。