完全なる嫉妬だ。 こんな自分が嫌になる。 つーんとしたような感覚に、そろそろ溢れ出すだろう涙。 目の前で完全に玄関で寝てしまった輝を見ながら、つーっと涙は頬を伝って行った。 とりあえず、起こさなきゃ。 ******* 「輝?」 「んー?」 「輝、起きて?風邪引いちゃうよ」 ゆすっても、軽く叩いても起きない。 仕方ない。毛布でももってくるか。 「愛莉……」 つぶやかれた名前は私のものではない。 きっとさっきのあの人の名前。 私の中で、何かが音を立てて崩れていった。