「私には言えなかった?元カノと会うこと。それって、何かやましいことがあったから?」
「は?そんな訳…」
「まぁ、それでもしょうがないと思うよ」
「…」
「私が悪いんだと思う、だから輝は何も気にすることないよ。ごめんね、居心地悪い家にしちゃ…」
話の途中で、輝に持たれていた腕を強く後ろに引かれ私はバランスを崩し、玄関先に座り込む姿勢になってしまった。
「それ以上、言うなよ…」
そんな私の身体を、輝は後ろからきつくきつく抱きしめた。
「なんで愛海は自分のことばかり責めるんだよ。聞いてくれよ、俺の話も」
「…」
「奈々とは会社帰りにばったり会っただけ、その一回しか話してない」
鋭さも棘もない、優しい声の輝。
「それを愛海に言わなかったのは、本当に何かやましい理由があったとかじゃなくて…。信じてくれるかは分からないけど、帰ってきて愛海の顔見たら奈々のことなんて頭から飛んじゃって…ただ話すの忘れてたっていうか…」
私は何も言わず、ただ溢れそうになる涙を堪えながら、輝の話を聞いていた。

